探偵業と別れさせ工作について

夏が過ぎ、気温の低下に伴って別れの季節がやってきています。芸能人やタレント、スポーツ選手に至るまで破局や離婚の話題は尽きることがありません。今回は、関係を解体することを目的とする「別れさせ屋」について個人的な意見も含めて話してみたいと思います。

探偵業法が施行される前後あたりから、探偵社や興信所が業務のひとつとして「別れさせ工作」を扱い、一般社会でも「別れさせ屋」という言葉が流行った時期があります。現在でも全国に200社ほど別れさせ工作を行なっているところがあるそうです。ちなみに探偵社の総数は全国で4000社を超えています。

「別れさせ工作」とは、ターゲットとなる人物の行動範囲などを調べたのち、偶然を装ってターゲットと接触し、恋愛関係にもっていくのが一般的なやり方です。そして、それを証拠として関係解消につなげるわけです。事前に依頼者よりターゲットの好みの異性情報なども入手していますので、それに近い容姿の調査員やコンパニオンなどが工作を行っていきます。依頼する方というと、嫁と別れたい旦那や旦那と別れたい嫁など、配偶者や恋人などが依頼者であるケースが多いようです。

では、この「別れさせ工作」とは本当に問題はないのか?法的には違法ではないのか?という部分を話していきたいと思います。 工作といってもどんな手段を使ってもいいという事にはなりません。

違法になる線引きはどこなのか?

2015年11月、大阪地裁は、別れさせ屋は違法ではないと判決を下しています。ただし、公序良俗に違反するものはいけないとされており、肉体関係を結ばせる行為は公序良俗に反するとして違法となります。しかし、探偵業を営む上で守らねばならない法律として「探偵業法」というものがあります。その中には「人の生活の平穏を害する等、個人の権利利益を侵害することがないようにしなければならない」と規定されています。私の考えでは「別れさせ工作」は「平穏な生活を害するもの」だと判断しています。

以前、別れさせ工作のターゲットにされてしまった方にお会いする機会がありましたが、皆さんおおよそ似たような内容を話してくれました。簡単にその流れを説明すると、

①突如、配偶者からの精神的なDVがはじまり、悩み疲弊したところに好みの異性が優しい言葉で近寄ってきた。

そして、夫婦間の悩みなどを聞いてもらう内に、信頼や恋愛感情が芽生え、一度だけ男女の関係を持ってしまった。

そこを「偶然にも」探偵社に証拠を抑えられ不貞行為で離婚になった

という流れですね。とはいえ浮気は浮気ですから本人にも落ち度がある事なので慰謝料の支払いが生じます。離婚となる事も・・・

ですが後々判明した事は、

①DVの時点から別れさせ工作が始まっていたという事

②証拠をとった探偵社が仕掛けた「別れさせ工作」だったという事

工作がなければDVを受ける事もなかったかもしれないし、魔が刺すこともなかったかもしれません。この事例でいえば、探偵業法でいうところの「平穏な生活を害するもの」にあたる業法違反だと個人的に思っています。工作というより「罠」といったところでしょうか。

2007年、別れさせ工作を行なった調査員が、ターゲットである女性に本気になってしまい、互いの関係のもつれから殺人事件が起きています。故意に感情を操作すればこういった事件も起きてきます。工作費用も100万円~300万円と高額なうえ、成功するかどうかもわからない。むしろ、本当に工作に着手しているかどうかも・・・

探偵の本来の仕事とは「自然発生した現状の証拠をとる事」で「証拠を作り出す事」ではないと私は考えています。

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